記者が求める情報とリレーションのコツ

広報担当者にとってメディアとの関係構築は重要な仕事の一つです。
メディアとの関係性をより良くするためには、記者視点が必須になります。
メディアで働く記者の視点や行動を理解し「一緒に仕事がしやすい相手」になることがメディアリレーションの第一歩です。

ぜひこの記事で“記者視点”を理解し広報活動に活かしていきましょう。


広報とジャーナリズムの役割の違い


広報担当者が記者視点を理解するためには、まず広報とジャーナリズムの役割の違いを把握することが重要です。

広報は企業や組織の情報を戦略的に外部に伝える役割を持ち、その目的は公のイメージを形成し、肯定的な認識を維持することにあります。
一方、記者は公共の利益を追求し、事実を基にした報道を通じて社会に真実を伝えることを使命としています。

広報担当者は企業や組織のポジティブなイメージ作りを目指しますが、記者は客観的な事実に基づき、時には企業にとって不都合な真実も報じる可能性があるということも理解しておきましょう。
ジャーナリズムは、自社が発信する宣伝ではなく第三者目線の報道であることが企業の信頼性の向上にもつながっています。

このため、広報担当者は記者がどのように情報を評価し、何を重要視するのかを把握することが、互いの理解と効果的なコミュニケーションに繋がります。


記者が求める情報とは

記者は新規性、影響力、季節性、地域性、公益性といったニュースバリュー(報道価値)を基準に情報を選びます。
記者が求めるニュースバリューがある情報を発信し、記者が興味を持ちやすいキーワードを前面に出すことがとても重要です。

例えば、新製品の発表ではその革新性や市場への影響、特定の地域における利益など、記者が読者に伝えたいと考える要素を強調することが効果的です。

また、具体的な数字や事実、第三者からの引用などを用いることで信頼性を増し、記者の関心を引くことができます。

新製品の市場予測、導入による環境への影響評価、ユーザーの声や専門家の分析などが有効です。これらの情報がリリースに含まれていると、記者は自分の記事に具体性と信頼性をもたらすための材料と見なす可能性が高くなります。

広報担当者は、自社のサービスについて一般的な広告文句や企業の自己宣伝を避け、実際に社会に影響を与える具体的な情報を提供することが重要です。

例えば、地域社会に対する貢献やSDGs、業界内での技術革新、社会問題に対する解決策の提案など、公共の関心事と直結するトピックスとして発信しましょう。

また、情報を簡潔に伝えることは、記者が素早く本質を把握し、それを記事に反映させるために不可欠です。

プレスリリースで意識すること
・ニュースバリューがある
・主要なポイントを冒頭に記載する(特にタイトル)
・専門用語の使用を避ける
・エビデンス(事実確認)を記載する
・1リリース1内容1枚にまとめる



記者の視点と広報NG行動5選

広報担当者が理解しておく重要な点として、記者やメディア担当者の仕事環境や思考を知ることが重要です。

「相手の立場に立ったコミュニケーション」が出来るかどうかで、メディアアプローチの成功率は大きく変わります。

「自社の宣伝をしたい」「サービスを取り上げてほしい」という想いが強いが故に一方的なアプローチにならないように注意しましょう。

記者は時間に追われている

記者は最新のニュースを取り扱うため常に時間に追われています。
多くの場合、分刻みで取材や締切などのスケジュールに対応していることを理解しましょう。

<広報NG行動>
・何度も訂正する
・校了間際or後の修正や差し替え
・掲載日時をコントロールする
・連絡が取れない、遅い、滞る

記者は情報に埋もれている

記者は日々複数のニュースを取材したり掲載したりしています。
また、プレスリリースは毎日何百、何千枚もメディアに届いていて、常に情報に埋もれています。

<広報NG行動>
・「プレスリリース届きましたか?」「読みましたか?」と何度も確認
・情報過多のプレスリリースを送る(1リリース1内容)
・1度に大量枚数のプレスリリースを送る(1リリース1枚)
・ごくたまにプレスリリースを送るだけで定期的な情報発信をしない

記者は他業界の知識がない

メディアは異動が頻繁にあることと、常に多くの情報を扱っているため、各業界についての個別の専門的な知識がありません。また、生活者に届けるためにも記者に送る内容は分かりやすい内容であることが重要です。

<広報NG行動>
・専門用語や難しい単語を使用したプレスリリース
・事実に基づかず根拠のない情報を載せる
・記者からの質問に対する曖昧な回答や答えられない

メディアは公共的存在

メディアの存在意義は「社会公共性」であり、多くの人が平等に情報を知れるよう運営されています。
広報活動としてのメディア掲載は「広告・宣伝」ではありません。
記者は広告色が強い情報は報道しない、できないので注意しましょう。

<広報NG行動>
・社会公共性のないプレスリリース
・執拗な原稿確認や掲載内容の指示
・広告と広報の区別がついていないアプローチ

媒体の特性に合わせる

メディアは媒体ごとに特性が大きく異なります。
スケジュール、配信形式(画像、テキスト、音声、動画)、視聴者層、地域に至るまでメディアごとにそれぞれ特徴があり、その特徴に合わせず“ばら撒きアプローチ”をすることは無駄な労力になってしまいます。

<広報NG行動>
・アプローチ先の媒体が求める情報がない
・媒体の視聴者層に合っていない情報を送る
・媒体の配信タイミングに合わないアプローチ

以上の重要な視点を理解することは、記者とのコミュニケーションの質を向上し効果的なメディアリレーションにつながります。
広報担当者として、記者と相互に信頼を構築し良い関係を築いていきましょう。

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