【ウェビナーレポート】プレスリリース作成編

SDGs PR Lodgeでは、これまでビギナー向けの広報ウェビナーを開催してきました。
初心者広報や中小企業の経営層向けに、元NHKキャスターがメディア目線も交えつつ、自社の広報力を強化し効果的なPR術をわかりやすく解説した1時間のオンラインセミナーを開催し、多くの方が参加していただき好評のお声をいただきました。

今回、当マガジンでもウェビナーの内容をまとめたレポート記事をご紹介します。
初心者でも即戦力になれる“プレスリリース作成の基本”が学べるので、ぜひ最後までご覧ください。

【ウェビナーレポート】広報全体像編

プレスリリースとは

プレスリリース(Press Release)とは、企業や団体がメディアに向け発表する『公式文書の報道発表資料』です。
新商品の発売や新サービス、新規事業の開始、経営・人事などの企業情報を、ニュース素材としてメディアの記者が利用しやすいようにまとめたものです。

プレスリリースは報道資料

大前提として、プレスリリースは「広告」ではなく

“報道価値があるかどうか”

が最も重要な点であり、公式文書では客観的な事実を端的に記載する必要があります。

報道資料として基本的なポイント

以下の4つが報道資料としての基本的なポイントなので押さえておきましょう。

①正しい日本語で書き内容に誤りや誤解を招く表現がないこと
②最新の情報であること
③事実の裏付けができていること
④ニュースバリュー(報道価値)があること

プレスリリースのネタ探し

プレスリリースは、新サービスの情報以外でも、実は多くのトピックがネタになります。
以下はネタになるテーマ例です。

感情トリガーマップ

ネタにする内容は、“人の感情が動くものかどうか”がとても重要になります。
そのプレスリリースを見て、まずはメディアの記者の心が動くかどうか。心が動かないものは記事になっても読者の心を掴むことができず話題になりません。

びっくり、楽しい、幸せ、感動を呼び起こす内容になるプレスリリースになるとメディアの関心が高まります。

メディアフック

メディアフックとは、メディアの興味関心を惹くワードのことです。
プレスリリースには感情トリガーと掛け合わせたメディアフックを入れることが重要です。

メディアフック

①時流・季節性
②画像・映像
③ギャップ(逆説・対立・意外性)
④地域性
⑤社会性・公益性
⑥話題性
⑦新規性・独自性・希少性

感情トリガー✖️メディアフック例)

・季節性×幸せ
・映像×楽しい
・社会性×意外性×感動
・新規性×希少性×びっくり

感情トリガーと掛け合わせたネタを発見することがポイント!フックが多いほど話題になりやすい

時流・季節性

流行や時流、季節に関連する情報。これは“タイミングが命”になります。
目的の日付やシーズンに合うように事前にリリース配信時期をよく検討しましょう。
リード文に「食欲の秋が到来し〜」など季節に絡めた一言を入れて内容に繋げるとグッとニュース価値が上がります。

例:春夏秋冬、◯◯の日(記念日)、バレンタイン、世界大会、GW、受験シーズン、インフルエンザ、花粉症・・・など

画像・映像

インパクトや撮れ高のある画像や映像は非常に訴求力があり、特にTV、雑誌、webニュースに需要があります。
最近ではSNSでも“映える”ことでバズが狙え取材につながる可能性が高まります。

例:デカ盛り、絶景、行列、動物、面白映像、新技術、トレンドの反映・・・など

ギャップ(逆説・対立・意外性)

一般認識とは真逆のことや対立構造にあるもの、意外性のあるもの。
「えっ!?まさか!」と思わせるそのギャップが大きいほどメディアや生活者の興味を惹きつけます。

例:ゴミから資源、真夏に雪、最高齢スポーツ選手、ひとり〇〇(キャンプ、焼肉)〇〇男子(日傘、美容)・・・など

地域性

都道府県や地域、エリアごとの習性や県民性、特産品、キャラクターなど特定の地域に限定した情報。具体的な県名や地名を明記すると地方メディアが取り上げやすい。

例:◯◯県初、◯◯エリア初出店、◯◯地区発、◯◯地方限定、◯◯地方アンバサダー・・・など

社会性・公益性

社会性があるかどうかは大きなメディアフックとなる大事なキーワードです。リリースに盛り込む際には、現状どんな問題があり、そのサービスを利用することでどんな効果があるのかを記載しましょう。

例:SDGs関連、便利グッズ、健康増進、グッドデザイン、◯◯(問題)の解決・・・など

話題性

ブームになっているものや、すでに世間で話題になっているものの付随施策。メディアも流行りに関連した情報は常に探しており、一定期間相乗効果で話題に乗りやすいネタです。

例:SDGs、話題のスイーツ、コロナ需要、
インバウンド施策、Vtuber・・・など

新規性・独自性・希少性

まだ他にない初めての取り組みや、“ここだけ”の試み。日本一や日本初ということは難しくても、範囲を変えることで
独自性を出すテクニックもあります。プレスリリースでは特に重要なメディアフックです。

*最上級のワードを使用する場合は必ず事実確認が必要

例:◯◯独自、◯◯業界初、◯◯限定、スクープ情報・・・など

ネタ探しの方法

それでは次に、ネタ探しの方法をお伝えします。プレスリリースのネタは様々なところにあるので、社内外に目を配りましょう。

マスメディアやSNSでのトレンド

広報担当者は常に最新情報にアクセスし、社会情勢や流行に敏感でいることが重要です。
特にテレビやSNSで今話題のネタを見つけ、その話題にうまく“乗っかる”ことができれば掲載に繋がりやすくなります。

毎日ニュースやSNSのバズワードなどトレンドのチェックは欠かさず行い、自社のサービスが関連づけられる部分を見つけましょう。

競合他社や関連企業の動向

競合他社や関連企業、業界の動きをチェックし拾えるネタを集めます。他社のプレスリリース、公式サイト、ニュース記事から話題になっているものは何か、似たような事例で自社も何か打ち出せないかなど、アイデアの参考にします。

社内の動きや他部署とのコミュニケーション

自社の中で次にどんな製品を発表予定なのか、どんな戦略で動いているのか、どんな面白い人事をしているのかなど、社内にもネタはたくさんあります。

新製品の発表のみならず、開発ストーリーや特殊な福利厚生社内制度、人事制度などもプレスリリースに使えます。


既存商品・サービスのデータ

すでに販売した商品の口コミや売り上げ、製品のあらゆるデータもプレスリリースのネタになります。

例:
・生活者の効果検証
・お客様の声から生まれた後続商品
・販売数の実績の達成発表(10万DL達成、100店舗目、即日1000個完売、資金調達累計3億円達成など)

年間イベントや記念日(◯◯の日)社会情勢

記念日や大型イベント(連休)、法改正、◯◯月間、世界大会などのスケジュールを事前に調べ、いつ頃どんなニュースに乗れそうか自社のリリーススケジュールを余裕を持って仕込んだり、時流や話題に乗れそうなネタを探します。

(参考)
政府広報月間行事:https://www.gov-online.go.jp/data_room/calendar/
日本記念日協会公式サイト:https://www.kinenbi.gr.jp/

イベントレポート

新作発表会(記者発表会)やアワードなどの授賞式、顧客やファン向けのイベントなどを開催後はイベントレポートとしてプレスリリースの
ネタになります。

参加していない人にも情報を届けられ、その場で得たユーザーの声や盛況ぶりなど第三者目線の内容を盛り込むことができるメリットがあります。また、そのレポートがきっかけで商品を知ってもらったり、授賞式などは企業価値を高める効果もあります。

<イベントレポートのコツ>
・当日の会場の様子の写真を載せ、その場の雰囲気や臨場感が伝わるもの にする
・登壇者やゲストのキャプションや情報を入れる
・参加者や審査員からの自社に向けた第三者目線の声を入れる
・自社が受賞しそうな関連事業の年間アワードを調べ、なるべく多くのアワードに応募して受賞の実績を作る
・イベント開催前、開催後、どちらもリリースとして使える

プレスリリース書き方のコツ

書くネタが決まったらいよいよプレスリリースの作成です。
公式文書であるプレスリリースは、
①タイトル
②リード文
③本文
④画像
⑤連絡先

の5つの構成要素があります。

それぞれの構成要素のポイントをおさえ、読みやすくなるべく短くまとまった(500-1500文字程度)リリースを書きましょう。

A4サイズで1枚が理想ですが、それを超える場合は添付資料等で補足します。

タイトル

・タイトルは30文字以内のインパクトのあるものにする

→プレスリリースのタイトルの文字数は1行あたり25~30文字未満を目安にすることが重要です。またその際、興味を引くキーワードはなるべく前方15字以内に配置しましょう。
メールの件名、SNSリンク画像表示、Google検索結果などで表示される際に30文字以上は見切れてしまいクリック率や開封率に影響が出ます。

どうしても文字数が多くなってしまう場合は、サブタイトルも活用してみましょう。

・キーワードを複数盛り込む
→固有名詞やメディアフック、数字などキーワードとなるポイントを複数入れて魅力的なタイトルをつけましょう。

・具体的な数字や固有名詞を入れる
→より具体的に伝えるためには、なるべく形容詞は避け、数字や固有名詞を使用しましょう。曖昧だったり過度な誇張表現を避け、事実に即した表現をし、その際に使用した数字や表現の根拠や詳細は本文に記載しましょう。

×すぐに→◯5分で
×多くの→◯100人の、1000個の
×巨大な→◯東京ドーム20個分
×暖かくなる→◯体感温度+3度

・感嘆符「!」や、感嘆疑問符「!?」の多用は避ける
→「!(感嘆符)」は、言葉を強調したり、驚きを表すため、
「?(疑問符)」は、疑問を表すために読者の興味を引きやすいと思い多用してしまうリリースがよくありますが、煽り文のように感じたり文章が幼稚になりがちなのでメディアが敬遠しやすくなります。

また、本当に強調したい部分がかすんでしまうので必要最低限の利用に留めましょう。

・「日本初」「業界最安値」などの最上級表現に注意する
→「日本初」「業界最安値」「No.1」などの最上級表現は根拠がない場合は景品表示法違反となるので安易な使用は禁物です。

比較:人気No.1、世界初、日本唯一 など
最上:最高、最大、最強、もっとも〜 など
保証:絶対、100%保証、必ず、完全に など

上記はできるだけ使用せずもし使用する場合は必ず根拠やデータを示しましょう。

<最上級方のテクニック>

メディアは新規性や独自性があるネタを探しています。
「◯◯初」や「◯◯最大」などの表現は根拠がないと使用できませんが、範囲を狭めることで利用できる可能性が高まります。
また、確たる根拠がないがおおよそそうである場合など、「◯◯級」など、言い切らずに範囲を広めたり、ぼやかす表現を使うテクニックもあるので、表現範囲を変えられる場合は積極的に活用しましょう。

範囲を狭める→今年初、◯◯県初、◯◯業界初
範囲を広げる→最大級、トップクラス、ハイレベル、国内有数の

リード文

リード文は、プレスリリース全体の要約として、そのリリース全文を読む必要があるかどうかを判断するため、最初に読まれる箇所です。
タイトルと同様にプレスリリースの内容が興味のあるものかどうか、
読み手がざっと目を通し瞬時に判断する材料となるので、素早く読めて
わかりやすい内容のリード文を作成しましょう。

リード文の理想の目安は250~300字程度、最大でも500字以内です。

本文

単なる自社の宣伝だけの内容はメディアにはほとんど取り上げてもらえません。“メディアフック”(特に新規性と公益性)を意識し、そのリリースが「他と比べて特筆すべき点は何か」「社会的意義は何か」をしっかりと情報の価値を記載しましょう。

また、一つのリリースには一つの内容をまとめます。
自社の取り組みをいくつも記載すると、伝えたいことが何なのか分かりにくくなるので気をつけましょう。

本文の構成例

1・見出し

2・サービスの特徴、詳細:メディアフックがある内容

3・課題解決:世の中にどのような課題があり、その課題をこのサービスがどの様に解決することができるのかを明記

4・ストーリー:目指す目標や掲げるビジョンなど、熱い想いやストーリー性のあるコメント

画像

プレスリリースにはアイキャッチとなるメイン画像の他に、本文中にも情報を正確にわかりやすく伝えるために、さらに2~5枚ほど画像を掲載しましょう。

自社の企業イメージやサービスのイメージ・利用シーンが伝わるものにし、過度な加工やテキストを載せると使いにくい場合があるので注意しましょう。

連絡先

プレスリリースを見たメディア関係者やユーザーが問い合わせできるよう、企業情報と問い合わせ先(社名・住所・電話番号・メールアドレス)は必ず記載しましょう。

その際、できる限り担当者の名前と個別の連絡先(メールアドレスか直通の電話番号)、対応時間なども記載すると緊急時の対応もできます。
リリースが出た直後は問い合わせが増えるので、連絡先の記載ミスや記載漏れがないようよく確認しましょう。


まとめ

以上がウェビナー『プレスリリース作成編』でお伝えした内容になります。実際のウェビナーでは時事情報や実際のエピソードなどを踏まえ毎回新しい発見があるようなウェビナーを開催していました。
広報の重要な業務であるプレスリリース作成の基本を捉える事で、自社のブランディング向上や社会的信用の向上、ひいては売り上げのアップにつながる可能もあります。
ウェビナーではこの他にも「Vol.1 広報全体像編」(記事公開済み)と「Vol.3〜メディアアプローチ編〜」を開催しましたので、そのレポートも順次公開するのでお楽しみに!

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